「OMZP」とは、当社が開発した、特殊りん酸亜鉛処理の総称です。(OM工業、Zinc Phosphate(りん酸亜鉛)の頭文字から作成しました)
一般に、りん酸塩処理とは、金属に塗装する前に行う、防錆効果や密着性向上を目的とした化学的処理を指します。その種類には、下地の金属の違いやその効果により、りん酸マンガン系、りん酸鉄系、りん酸亜鉛系等があります。当社で行っているりん酸塩処理は、主にりん酸亜鉛処理です。
この処理は、亜鉛めっきの低光沢処理や、その質感を生かした新しい意匠として、建築関係や道路関係に広く利用いただいております。
OMZP処理(りん酸亜鉛処理)の研究を行っている内に、その処理された表面の性質(微細な凹凸が、強固に密着している)を生かしたものとして開発されたものが、OMZP-2処理です。
したがって、当社のOMZPには、低光沢処理を目的とした「OMZP処理」と、すべり係数向上を目的とした「OMZP-2処理」の2種類があります。
処理液はりん酸亜鉛「Zn3(PO4)2」の飽和水溶液と若干の遊離酸、酸化剤を主成分としております。それに加え、垂直面での垂れ落ちを抑えるため、微量の粘液剤を添加しております。
処理液には、有害物質は含まれていませんが、医薬外用劇物であり、弱酸性の液体であります。もし、手や皮膚に付着した場合は、即座に水道水で洗い流してください。目に入った場合は、即座に大量の水道水等で5分間以上洗い流した後、出来るだけ早く医師の診断を受けて下さい。誤って飲み込んだ場合は、直ちに医師の診断を受けて下さい。
亜鉛めっき単体と亜鉛めっき上にりん酸亜鉛処理を行なった物の暴露試験において、その耐食性には、殆ど差がない結果が出ております。これは、りん酸亜鉛の皮膜が防錆に対して効果のある処理の一つであるからです。
たしかに、めっき表面の亜鉛が、皮膜形成に伴い使用されるので、めっき厚さは極く少量(2~3μm程度)薄くなります。しかし、反対に、形成されるりん酸亜鉛の皮膜厚さが、3~10μm程度ありますので、皮膜の合計は、反応の結果増加することになります。
すなわち、りん酸亜鉛皮膜が持つ耐食性により、亜鉛めっきとの耐食性には大きな差が無いものと言えます。
ディスクサンダーや平ヤスリで余剰亜鉛等を除去していただければ結構です。ボルト孔の内部やボルト中心からワッシャー半径の2倍の範囲は念入りにお願いします。
又、過剰な手入れで鉄地を露出させた場合、通常は補修の目的でジンクリッチペイント等を塗布しますが、OMZP-2処理の場合、ジンクリッチペイントを塗布した部分だけ皮膜生成の反応が阻害されますので、補修はできません。従って鉄地を露出させないように注意して手入れして下さい。
標準の塗布量は、1キログラム当たり約10平方メートルを目安にして頂ければ結構です。塗り方の目安は、摩擦接合面が均一に反応しておれば1回塗りで結構ですが、素早く縦、横に2回塗っていただければムラのない塗布ができます。処理液を塗布すると亜鉛の金属光沢が失われるので、それを反応の目安としてください。もし、金属光沢が残っているときは、その部分にのみ再度塗布してください。
塗布時、多量な液だれが生じない程度に刷毛についた液を容器のコーナー部で適度に液切りをしてから塗布して下さい。
乾燥後、限度見本と比較し合格の範囲内であることをご確認下さい。
処理液は、刷毛塗りに適した粘度に調整してありますが、どうしても塗りにくい場合は、少量の水を加えつつよく撹拌して粘度を確認しながら薄めて下さい。薄める場合は必ず水を使用し、シンナ-等の溶剤は使用しないでください。
薄め過ぎますと垂直面等に塗布した場合、垂れてしまい、不必要な箇所に付着してしまう恐れがありますのでご注意ください。
部材が冷えて表面に氷の膜が出来ている場合は反応しません。この場合は、ト-チランプ等で摩擦接合面を加熱し、氷を融解させ、水分をウエス等でふき取り、更に加熱して表面を乾燥させた後塗布してください。
処理液は、氷点下40℃でも凍りませんが、低温になるにつれて塗りにくくなります。湯浴法(ウオ-タ-バス)等で暖めて10℃以上に保った状態で塗布してください。
処理液の有効期限は、基本的には製造後6ヶ月、開封後3ヶ月としております。
使用期限が過ぎたものや、液中や容器の底に半透明の固まりが生じたもの、又、処理液の透明度が落ち、濁ってきた物は、液の劣化が進んでいますので、ご使用なさらないで下さい。廃棄する場合は、下水等に放流しないで、産業廃棄物として処理していただきますようお願いいたします。
OMZP-2処理は、亜鉛めっき面との化学的反応を利用して皮膜を形成する方法ですので、塗装皮膜の様に溶剤等では除去できません。従って、変色した部分をもとに戻す方法は、物理的に皮膜を除去する以外にありません。ディスクサンダー等で取り除いてください。
ただ、皮膜を除去したことにより、めっき層が薄くなります。したがって、できるだけ、不用な部分には処理液が付着しないように作業していただきますようお願い致します。
摩擦接合面以外に付着しても、亜鉛めっきの耐食性にはなんら問題はありません。ですから、外観的に特に問題がなければ除去せず、放置しておいてもよいかと思われます。
本処理液は、溶融亜鉛めっきのすべり係数向上の目的で開発・製造したものですので、他の用途には使用できません。
もし、塗装する面に付着してしまった場合は、すぐにふき取り、白色生成物をディスクサンダー等で除去してください。
OMZP-2処理に使用する処理液はすべり係数向上を目的として開発・調整されたものです。従って、OMZP-2処理面を塗装の下地に使用することはできません。
万一処理液が塗装する箇所に付着した場合はディスクサンダー等で取り除いてください。
摩擦接合面を屋外に放置しておくと、降雨等の影響で皮膜が変化してしまうのではないか?という懸念がありますが、海岸付近に6ヶ月間暴露した後締め付け、すべり耐力を測定しても、なんら問題はなく、正常な値を示すことが確認されております。
ただ、OMZP-2処理は、化学反応を利用した処理方法であります。このため、塗布法の場合、降雨中での塗布は避けて頂かないと正常な皮膜を得ることができません。これは雨水により、反応が完了する前に処理液が流出してしまうためです。しかし、一旦反応が完了し乾燥した後は、降雨にあってもりん酸亜鉛皮膜が流れ出したり、消失したりするようなことはありません。
傷の場所や範囲によってすべり係数に与える影響は異なると思います。ボルト穴中心よりワッシャー半径の2倍の範囲内に、広範囲に及ぶ傷がつき亜鉛の金属光沢が露出しているような場合は、すべり係数の低下をまねく恐れがあるので、再度処理液を塗布してください。
傷が線状の程度であったり、ワッシャー半径の2倍の範囲より外側であるならば、とくに問題はないものと思われます。
補修方法としては、亜鉛の金属光沢が露出しているほどの傷ならば、その箇所にもう一度処理液を塗布してください。
OMZP-2処理は、平成4年(1992年)に初めて実際の物件に採用していただきました。また、実験の結果も、5カ年経過時点のデ-タしかありません。したがって、それより長期の場合の変化については、確実なデータはございません。
しかし、それに代わるものとして、某大学機関にて行なわれました動荷重繰り返しテストの結果がございます。これは、すべり試験体に17.5tonの荷重をかけ、それを1秒間に8回の割合で交互に引っ張り圧縮荷重(2.5ton)を加え、それを250万回行なわせるというものです。
そして、その結果、250万回終了後でも、正常なすべり耐力を満足させる数値がでております。この250万回が、実使用において何年に相当するかは、断定できませんが、この結果を長期間使用のデータの代用と考えております。
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